全日本柔道連盟、個人戦の全国小学生学年別大会を今年から廃止へ。
最近、こんなニュースを目にしました。
全柔連関係者によると、極端な「勝利至上主義」への懸念が強く・・・というのが原因のようです。
同時期に練習試合や柔道教室を行う代替イベントを実施する。全柔連幹部は「原点に戻り、柔道の教育的価値を見つめ直したい」と語った。
大会は5、6年生が対象で、各学年で男女が2階級に分かれて争う形式。指導者が結果を優先し、心身共に未発達な小学生に厳しい減量や危険な体勢からの技を強いるケースが生じていた。体格差の大きな選手同士が試合する危険性も指摘されてきた。
主催する団体戦の全国大会はチームで一丸となって闘う意義を重視して継続する。
スポーツ庁の室伏広治長官も19日の定例記者会見で、極端な勝利至上主義を懸念して全日本柔道連盟(全柔連)が全国小学生学年別大会を廃止したことに関し、
「無理やり体重を増やしたり減らしたりということは、成長期にあってはならないこと」と強調。全柔連の判断を「過熱させないための考えと受け止めている」と話した。
また、若年層の全国大会については「個人的な意見」と前置きしたうえで、「早い段階から全国大会をやることに意義があるのか。小学生で全国1位と言っても、その時点では競技人口がそもそも少ない場合もある。真の全国1位は、やはり高校生以上でないと選ぶことはできないのではないかと思う」と疑問を投げかけた。
さらに「子どもの頃は一つの種目に偏るよりは、いろいろなスポーツを体験していただきたい。そのなかで、将来は本当に好きなスポーツをやればいいと思う。強制ではなく、健全で楽しめるスポーツ。生涯スポーツとしての取り組みが重要になってくる」と述べ、改めて支持する考えを示した。
大人の影響を受けやすい、時期に『勝利至上主義』を教育するのは、どうなのでしょうか。
大変ためになるので、コーチングステーションさまのHPを引用させて頂きました。
目次(押すとジャンプします。)
そもそも勝利至上主義ってなに??
スポーツ競技などで、相手に勝つことを絶対的な目標とする考え方。中学や高校の部活動においては、行き過ぎた指導や長時間の練習による生徒への影響、暴力・体罰の発生による弊害などが問題視されている。
知らなかった・・・ 勝利至上主義は社会に多くの悪影響を及ぼしていることを
スポーツ教育における勝利至上主義は、社会に対して多くの悪影響を及ぼしています。
スポーツ庁の統計データによれば、平成16年度から毎年中学生男子の部活動参加率は75%を超えています。
つまり、若者の多くは部活動を経験しています。
この部活動というスポーツ教育はこんな悪影響をもたらしているようです。
勝利至上主義がもたらした悪影響①やる気のない子どもを育てた
勝利至上主義がもたらした悪影響として、やる気のない子どもを育てたことが挙げられます。
アメリカのギャラップ社が調査した結果によれば、日本人の従業員の仕事に対するやる気は、調査した139か国中132位と最下位クラスであったことが報告されています。
スポーツ心理学の観点からいえば、勝利至上主義は勝てばやる気になるものの負ければやる気がなくなります。
これは飴と鞭という言葉と同じように、勝利は飴で敗北は鞭です。
飴と鞭は、子どもの教育を長期的な視点でみたときに、やる気を育むことにはつながりません。
勝利至上主義がもたらした悪影響②生産性の低い子どもを育てた
勝利至上主義がもたらした悪影響として、生産性の低い子どもを育てたことも挙げられます。
これはやる気がない子どもを育てたことと関連しますが、やる気がないから生産性がなくなるということです。
2018年の日本生産性本部の報告書によれば、日本の1時間当たりの労働生産性は4733円で加盟36か国中20位、主要先進7か国中最下位という結果です。
飴と鞭を用いたやる気の育み方は、短期的なスパンにおいてのみ有効ですが、長期的かつ持続的なやる気を引き出すためにはかえって逆効果になってしまうためです。
やる気が仕事における生産性と関係していることは、社会心理学領域で多くのエビデンスが存在します。
つまり、勝利至上主義は、子どものやる気を育むどころか、やる気を殺いでしまうことで結果として仕事の生産性を低くしてしまうのです。
勝利至上主義がもたらした悪影響③幸福度の低い子どもを育てた
勝利至上主義がもたらした悪影響として、幸福度の低い子どもを育てたことも挙げられます。
この幸福度は、国連の関連団体が発表している調査結果で、様々な要素をもとに測定されています。
この中には1人当たりの国内総生産(GDP:24位)だけではなく、人生の選択の自由(64位)や寛容さ(92位)が含まれます。
特に、人生の選択を取り上げると、やる気・生産性と関係が深いことが心理学の観点から述べる事ができます。
根性主義はどこから始まったの?
体育の歴史やオリンピックが深く関わっているという。 「体育は明治以降、軍事教練の影響を受け、兵士あるいは企業戦士としての身体を育成する目的で行われてきたため、その性格がいまだにしつこく残っているんようです。 ただし、終戦後には牧歌的な体育のあり方が模索された時期もあったようでが、1964年に東京オリンピックの開催が決まってからは、メダルをとらなければいけないということで、戦前の厳しい体育教員が再び召集され、根性主義が始まったといわれています。 こうした歴史を踏まえた上でそれを断ち切り、体育とは何か、スポーツとは何かということを根本的に考え直す必要があると思います。
まとめ
コーチングステーションさまのHPにも記載されていましたが、
勝利至上主義がもたらした悪影響は多岐にわたるようで、
勝利至上主義とは対照的に、子どもに選択肢を与えるスポーツ教育は、今後の未来を大きく左右します。
まだまだスポーツを楽しくやりたいお年頃。
応援・指導にも熱が入ってしまうのも分かりますが、
大人も子供への影響力を考え、指導・教育を行っていくべきだと思います。
未来ある子ども達に選択肢を与えるような環境・スポーツ教育を是非行って欲しいです。