前回の続きで、『代理編パート3』です。
まだ前回の代理編その1・その2を見ていない方は↓
宅地建物取引士(宅建士)の勉強 権利関係編
~ 代 理 編 そ の 3 ~
目次(押すとジャンプします。)
しつこいようですが、また代理についてのおさらい
代理とは??
本人に代理して第三者に意思表示を行う人のこと。
いろいろ調べると難しいこと色々書いてあって良く分からないけれど、
簡単に言うと、本人に代わって契約の締結等をすることです。
前回書いた内容
・代理権の濫用(らんよう)
・自己契約・双方代理
・利益相反行為
今回は『復代理』・『無権代理』・『表見代理』の3本です。
復代理とは??
復代理とは、代理人が自分に与えられた権限の範囲内の行為を行わせるために、さらに代理人を選ぶこと。
復代理人の選任と代理人の責任
復代理人は、一定の場合に選任することができます。この場合の代理人の責任はこんな感じです。
復代理人が選任できるばあい
- 任意代理・・・『本人の許可があるばあい』・『やむを得ない事由があるばあい』
- 法定代理・・・『法定代理人は、自己の責任において復代理人を選ぶことができる
復代理人の選任における代理人の責任
- 任意代理・・・・債務不履行責任の要件を満たす場合にその責任を負う
- 法定代理・・・・原則:復代理人のすべての責任を負う 例外:やむを得ない事由によって復代理人を選任した時は、選任・監督についてだけ責任を負う。
復代理人の選任と代理人の代理権
復代理人を選任しても、代理人の代理権は消滅しない。
こんな感じで問題が出されます。
【H19-問2】
【前提】Aは不動産の売却を妻の父Bに委託し、売却に関する代理権をBに付与した。
BがBの友人Cを復代理人として選任することにつき、Aの許可を得たときは、Bはその選任に関し過失があったとしても、Aに対して責任を負わない。
こたえ:× 本人の許可を得て復代理人を選任した場合でも、代理人は、債務不履行の一般原則に基づき、責任を負うことがある。
無権代理とは??
無権代理とは、代理権がないのに、代理人として行った行為のこと。
また、無権代理行為を行った者を『無権代理人』と言います。
無権代理行為の効果
無権代理人が行った契約の効果は、原則として本人には生じません。
本人の知らないところで代理行為が行われたのに、その効果が本人に生じたら、本人はたまったもんじゃありません。そのため、無権代理人が行った契約の効果は、原則として本人には、生じないのです。※ただし、本人が追認した場合には、契約にさかのぼって有効な代理行為が行われたことになっちゃいます。
無権代理の相手方の保護は??
無権代理人と契約を行った相手方を保護するため、相手方はこんな感じで権利が認められています。
『契約をしたけど、無権代理人だったから、その契約は無効!』となってしまったら、こんどは契約した相手方がたまりません。そこで、相手方を保護するためにいくつかの権利が認められています。
催告権・・・無権代理人と契約した相手方は、本人に対して、『追認するかどうかを解答して!!』と催告できる
※解答が無い場合は、追認を拒否したものとみなされます。
※催告権は、相手方が無権代理について、『善意』でも『悪意』でも認められます。
取消権・・・無権代理人と契約した『善意の相手方』は、本人が追認しない間は、契約を取り消すことができる。
※本人が追認したあとは、契約を取り消すことはできない。
無権代理人に対する責任追及権
こんな場合、相手方は『無権代理人』に対して、契約の履行または、損害賠償の請求をすることができます。
無権代理人に代理権がないことについて
- 相手方が善意無過失の場合
- 相手方が善意有過失だが、無権代理人が悪意のばあい 無権代理人が制限行為能力者であるときは、責任追及することはできないので注意!
無権代理と相続
無権代理行為があったあとに、本人または無権代理人が死亡した場合の法律行為はこんな感じです。
- 本人が死亡し、無権代理人が本人を単独で相続したばあい(無権代理行為は無効)
- 無権代理人が死亡し、本人が無権代理人を単独で相続したばあい(本人は追認を拒絶することができる) 追認を拒絶した場合において、無権代理人が代理権がない事について、①相手方が善意無過失のとき、または、②相手方が善意有過失だけど、無権代理人が悪意のときには、無権代理人の責任が生じます。※本人は無権代理人を相続しているから。
こんな感じで問題が出されます。
【H24-問4】
【前提】A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売却契約を締結した。なお、表見代理は成立しないものとする。
Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、BはAの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。
こたえ:× 無権代理人が単独で本人を相続した場合には、自らの無権代理行為の追認の拒絶をすることができない。
表見代理とは?
表見代理とは、無権代理行為であっても、表面上、正当な代理権があるように見える場合には、有効な代理行為があったものとしてする制度です。
表見代理が成り立つには、相手方は『善意無過失』でなければいけません。
表見代理が成立する場合
こんな場合+相手方が『善意無過失』であった場合は表見代理が成立し、有効な代理行為となります。
こんな場合
- 『代理権を与えたよ!』という表示をした場合
- 権限外の代理行為をした場合
- 代理権消滅後に代理行為をした場合
- ①+②を重ねて適用するケース
- ②+③を重ねて適用するケース