宅地建物取引士(宅建士)の勉強 時効編
~ 時 効 編 そ の 1 ~
目次(押すとジャンプします。)
今回勉強していく内容
・時効
・取得時効
・消滅時効
・時効の完成猶予・更新
・時効の効力・援用・利益の放棄
今回は『時効』・『取得時効』の2本です。
時効とは?
時効とは、ある状態が一定期間続いた場合に、権利を取得したり(取得時効)、権利が消滅(消滅時効)といった効果を認めることを言います。
取得時効とは??
取得時効とは、ある状態が一定期間続いた場合に、権利を取得できる制度をいいます。
※時効によって取得できる権利には、所有権のほか、地上権・永小作権・地役権・賃借権などがあります。
地上権?
工作物又は竹木を所有するため他人の土地(地下又は空間を含む。) を使用収益することを目的とした用益物権で、民法第265条《地上権の内容》に規定されています。 地上権は、直接、土地に対して権利を持つものとされ、地主の承諾なく譲渡、転貸ができるとされています。
永小作権?
「永小作人」が小作料を支払って他人の土地で農地の利用や牧畜などをする権利(民法第270〜279条で規定)のこと。 その土地の使用と収益と処分の権利である。
地役権?
一定の目的の範囲内で、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する物権のことをいいます(民法第280条)。 地役権の設定は、例えば、公道と自分の土地の間にある他人の土地(私道)を通行したり、用水路から自分の土地まで水を引くなどの目的で行います。
賃借権?
賃貸借契約に基づく賃借人(居住者)の権利のこと。 賃借人は、居住のために建物を使用する権利をもつ一方、賃料を支払う義務を負う。 また、賃貸人(その物件のオーナーや地主のこと)の承諾がないと譲渡したり転貸することはできない。 民法では、賃借権の存続期間は最長で20年と定められている。
所有権の取得時効が完成するための要件
こんな場合(期間)、所有の意思をもって、平穏かつ公然に他人のものを占有すれば、その所有権を取得することができる。=自分のものにできる。
・占有開始時に
- 善意&無過失であった場合・・・10年間
- 善意&有過失であった場合・・・20年間
- 悪意であった場合・・・・・・・20年間
~聞きなれない法律用語メモ~
占有(せんゆう)・・・物を自分のものとして、事実上支配すること。
※自主占有と、他主占有があります。
自主占有・・・・所有の意思がある占有
(例:土地の買主が土地を占有している場合など)
他主占有・・・・所有の意思のない占有
(例:アパートの一室を借主が占有している場合など)
※『善意・悪意』・『有過失・無過失』は占有の開始時で判断する。
占有の開始時に『善意無過失』なら、途中で『悪意』に変わっても、10年間で取得時効が完成!!
実際に占有せず、誰かに占有させていたとしても、取得時効は完成する。
例:Aさんが善意無過失で土地の占有を開始し、6年後、その土地をBに貸し付けた場合は、Bがあと4年占有すれば、取得時効が完成!!みたいな感じ。
占有の承継
売買や相続があった場合、占有は承継されます。なお、前の占有者の占有期間を合計する(承継する)場合には、前占有者の善意・悪意も承継します。
こんな感じで問題が出されます。
【H16-問5】
A所有の土地の占有者がAからB、BからCと移った場合において、Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかごうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる。
こたえ:× 土地の譲渡があった場合、前の占有者(B)の占有期間を合計することが出来るのが、前占有者の善意・悪意も承継されます。そのため、Bの占有開始時にBが善意・無過失であれば、CはBの占有開始から10年で取得時効を主張できるが、Bが悪意または、善意・有過失であれば、CはBの占有開始から20年経過しないと取得時効を主張することができない。(ただし、Cは善意無過失なので、自分の占有期間が10年であれば、取得時効を主張できる。)